Ti Project 現場にて
去年の末、ようやく全ての階のコンクリートが打ち終わり上棟しました。 これからは仕上工事に入り、緑のヴェールに包まれているこの建物が今月末にはその雄姿(?)を街に現します。
全てが時間との勝負であり、図面との格闘をしている毎日の中で、ふと改めてこの建物を眺めてみるといろんな人たちの想いが詰まった建物だなと感慨深くなります。 建築の仕事というのは、決して一人で造り出すことはできません。どんな小さなものでも、多くの人が関わります。いい建物、家をつくるということに対して何が一番必要で大切なことか。それは、建築家のセンスや施工者の技術ではありません。一番大切なこと。それはコミュニケーションです。オーナーさん、設計者、施工者、職人、メーカーの方々との対話です。
(余談ですが、家を「買う」という人たちをみるともったいないなと思います。せっかく人とのつながりができるチャンスなのにと。みんなで一つのものをつくることはすごく楽しいことなのにと。)
今回の建物は、特に多くのスタッフ、パートナーが協力してくれています。設計側だけでも、構造や設備はもちろんのこと照明・家具・web・グラフィック・キッチン・ランドスケープなどです。現場がはじまると通常週1回程度の定例会議で済んでしまうのですが、今回のプロジェクトは週3,4回程度あり、一つのことを決めるのに多いときには10名程度でそれぞれのプロが集まって喧々諤々しながら決めています。
よくまわりから仕事が激務で大変じゃないですかと聞かれますが、そんな多くのスタッフ、パートナーたちと仕事ができることは幸せですし、楽しいです。まとめるのは大変になるのですが、関わる人が多ければ多いほどその楽しさは増していきます。
私はサッカー小僧(笑)なので、現場がはじまると関わる人たちに酔っ払うと話すことがあります(笑)。それは「サッカーも建築も同じ。」ということです。 サッカーは11人で行うチームスポーツです。一人のファンタジスタがいてもそのチームは決して勝利することはできません。ボールを持った者がパスを出したくても空いたスペースに味方がいなければ出せない。自分がミスしたら、フォローしてくれている味方がいなければ失点してしまう。
つまり建築も同じで、プロジェクトに関わる全ての者がその方向性を理解し、各々責任を持ち、自分で考え、行動し役割を果たす。それができない人はいらない。と。幸い、このプロジェクトに関わってくれている人たちはみなさん優秀ですのでそんなことをいわなくてもよかったみたいですが(笑)。今ではチーム以上に家族みたいな関係です。事務所にいても現場に行ってもみんなが各々に愛着や思い入れをもって仕事をしてくれているのがわかります。
以前、私が設計した建物をしばらくぶりに見に行った時、ふとその道路脇にダンプカーが止まっていました。自分がどうも建築関係の人間だと気づいたらしく、そこの運ちゃんが声をかけてきました。「おにいさんは建築家かい?この建物は俺がコンクリートを打ったんだよ。この建物の基礎はすげーしっかりしてるぞ。なっ。立派だろ。」今回も建物ができたあと、間違いなくそんな話しがどこかで聞けるような気がします。
あと半年足らず。ラストスパートです。